スポーツをしている人でも外反母趾になる!?
外反母趾研究所には外反母趾でお悩みの患者様が大勢いらっしゃいます。
初診の問診では、既往歴・治療歴・日常生活の歩行頻度・よく履く靴のタイプなどいろいろなことをお聞きします。
中でも私が重要視していて必ずお聞きするのが「スポーツのご趣味はありますか?」という点です。
ほとんどのスポーツが足を酷使するため、スポーツを続けながら外反母趾を改善させるのには時間がかかるケースが多いからです。
私の経験上ですが、外反母趾患者様の中でテニス・ゴルフ・バスケット・ランニング・マラソンなどの競技スポーツをされている方は全体の2~3割程度だと思います。
そもそも、外反母趾を治そうと思って来院する患者様ですから、中高年の主婦の方が圧倒的に多い(40代~70代の合計63.1%)状況の中で、2~3割でも決して少なくない数字と考えています。
この数字にさらに『毎日のウォーキング』を加えると、いきなり5~6割ぐらいに人数が増え、スポーツ(運動)の愛好者でも関係なく、外反母趾になる方は多いということになります。
私は外反母趾の根本原因が『指を使わない歩き方』をしていることにあり、これにより指に関連する足の筋肉の筋力低下(足の退化)によって発症するものと考えています。
このような説明をすると、次のような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「外反母趾の原因が指に関連する足の筋肉の筋力低下(退化)なら、スポーツで足を酷使する人が外反母趾になるのはおかしい」と。
ここで説明している『足の退化』の『足』の部分は、太ももやふくらはぎの部分ではなく、くるぶしから下の部分を指しています。
もちろん運動中は、走る・蹴る・跳ぶ・止まるといったいろいろな動きを行うのに伴って足の指も相当な働きをしています。
しかし、大切なのは運動中の指の働きだけにフォーカスするのではなく、日常生活の指の働きに目を向けることです。
一般人の場合、一日の生活の中でスポーツをしている時間と、普通に歩く時間ではどちらが長いでしょうか?
さらに言えば、幼少期から今までの十数年~数十年間でスポーツをしている時間と、普通に歩く時間ではどちらが長いでしょうか?
幼少期から日常生活で『指を使わない歩き方』をしている習慣があれば、既に指に関連する足の筋肉の筋力低下(退化)は始まっています。
このような状態の足ではいくらスポーツの時だけ足の指を使っても、指は鍛えられるどころか逆に酷使に耐えられずにストレスが蓄積されるため、外反母趾が発症・悪化していきます。
これが、スポーツをして足を鍛えている人でも、外反母趾をはじめとした足のトラブルが発症する理由です。
私が問診で必ずスポーツ歴をお聞きするのはこのような理由からで、改善にも時間がかかると判断している根拠なのです。
外反母趾の患者様でスポーツをされる方には、元メジャーリーガーのイチローさんの歩いている写真をお見せして、イチローさんが『ゆりかご歩き®』で歩いていることを説明しています。
イチローさんがあれだけ活躍できたのは、もちろんご本人の努力や才能の部分が大きいのですが、
私は正しく歩いていることも要因のひとつと考えています。
きっと、イチローさんは幼少期から無意識に『指を使っている歩き方』をされてきたのでしょう。
走る・蹴る・跳ぶ・止まるなどのスポーツの急激な動きの中で、
足の指がしっかり使えていなければ良いパフォーマンスはできませんから。
外反母趾研究所代表 古屋 達司